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大阪地方裁判所 昭和48年(わ)210号 判決

本籍

鹿児島県揖宿郡開聞町川尻五七七五番地

住居

大阪市西淀川区佃町二丁目一二番二八号

土木工事請負業

松元進

明治四〇年二月八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官忠海弘一出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を徴役一〇月および罰金一、一〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右徴役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大坂市西淀川区佃二丁目一二番二八号において土木工事請負業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一、昭和四四年分の所得金額が二九、三六四、五〇九円でこれに対する所得税額が一四、七三三、七〇〇円であるのに、公表経理上外注工賃を水増し計上しこれによって得た資金を仮名預金にするなどの行為により右所得金額中二二、八四一、八一四円を秘匿したうえ、昭和四五年三月一四日同市西淀川区所在西淀川税務署において、同税務署長に対し同年分の所得金額が六、五二二、六九五円でこれに対する所得税額が一、九六五、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一二、七六八、一〇〇円を免れた、

第二、昭和四五年分の所得金額が九四、一八八、四〇八円でこれに対する所得税額が五八、八二九、〇〇〇円であるのに、前同様の行為により右所得金額中八三、六九五、一〇二円を秘匿したうえ、昭和四六年三月一五日前記西淀川税務署において、同税務署長に対し同年分の所得金額が一〇、四九三、三〇六円でこれに対する所得税額が三、六一四、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税五五、二一四、五〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全事実について、

一、宮越進、山仲徹夫、加藤大宣の収税官吏に対する質問てん末書

一、松井憲一の収税官吏に対する質問てん末書および検察官に対する供述調書

一、国税査察官作成の調査報告書一五通(請求番号一から三)

一、西淀川税務署長作成の確定申告書謄本二通

一、被告人作成の確認書二通(実際の作成者「松井憲一」のもの)

一、被告人の収税官吏に対する質問てん末書八通および検察官に対する供述調書

一、押収してある総勘定元帳二綴(昭和四八年押第一五四号の三、四)

判示第一の事実について

一、上田幸雄作成の確認書

一、田端清敏の収税官吏に対する質問てん末書

一、押収してある借用金確認(昭和四八年押第一五四号の一)

判示第二の事実について、

一、芝本三良、藤原隆司、徳山恵美子、野田正司の収税官吏に対する質問てん末書

一、押収してある不動産売買契約証書一通(昭和四八年押第一五四号の二)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項、一二〇条一項に該当するので、情状によりいずれも徴役刑および罰金刑を併科し、かつ罰金刑については同法二三八条二項を適用することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので同法四七条、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の徴役刑に法定の加重をし、かつ同法四八条二項により罰金額を合算した刑期・金額の範囲内において被告人を徴役一〇月および罰金一、一〇〇万円に処し、同法一八条を適用して右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、なお情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間徴役刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 砂山一郎)

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